「将来何になりたい?」の質問に困る人へ
from:竹田慶
私たちは大人になるまでに「将来何になりたい?」と何度聞かれるのでしょうか?
小さい頃はいいのです。
「お花屋さんになりたい」「大工さんになりたい」「保育士さんになりたい」「野球選手になりたい」と無邪気に答えます。
そしてこの質問は、働くことや職業について興味関心を持つ機会となるので、とても意味のある質問だと思います。
ところが、少し大きくなって、小学生高学年、あるいは中高生になると話は違ってきます。
「なりたいものがない」「見つからない」と困る子が多くなってきます。
けれど、心配しないでください。それはとても自然なことです。理由は2つあります。
世の中にある職業は変わっていく
1つ目の理由は、昔と比べ、職業は多くあり、今も増え続けているからです。
子どもたちが社会に出る頃には、今ある職業のいくつかはなくなり、それ以上の新しい職業が生まれています。そんな多様で変化の激しい社会において、「何になりたいか」が決まっていなくても良いのではないでしょうか?
「何かになる」=「働く」ことではない
2つ目の理由は、「何かになる」=「働く」ことではないからです。
あるドラマで全く違った公務員が描かれていました。主人公の役人は「役に立ってこそ役人です」と言って一所懸命働いていました。
一方で、市民が困っていても知らん顔で、役に立たない役人もいました。
同じ公務員でも、働く姿は全く違います。「何かになる」=「働く」ことではないのです。
だから、今なりたいものがなくても心配ありません。
大事なことは、「何になりたいか」よりも先に、「何をしたいか」「どんな働きをしたいか」を考えることです。
では、働くとは何でしょう?
いろんな人が、いろんな表現をしています。
「傍(はた=周りの人)を楽(らく)にすること(=はた+らく)」「責任を果たすこと」「価値を創造すること」「問題解決をすること」等。
私が好きな表現は、「働くことは、ありがとうを集めること」です。
もっと具体的に言うと、「誰かの“困った”を“良かった”に変えること」とも言えます。
例えば、出先でお腹が減ってきました(=困った)。そこで、お店に入りおいしい食事をしてお腹が満たされました(=良かった)。
お店の人は、おいしい食事と場所を提供することで、あなたの「困った」を「良かった」に変えたのです。ありがとう、ごちそうさま。その対価として、あなたは料金を払い、お店の人は受け取ります。
これが、「働く」ということです。
更にいうと、そのお店が繁盛してきて、忙しくなりました(=困った)。そこであなたがバイトとして働くことになりました。お蔭でお店の人は助かりました(=良かった)。その対価として、あなたは給料を受け取ります。
これも、「働く」ということです。
全ての仕事が、誰かのありがとうを集めています。誰かの「困った」を「良かった」に変えているのです。
どんな「ありがとう」を集めたいか?
「将来何になりたいか」が見つからないという人は、どんな「ありがとう」を集めたいか、どんな「困った」を「良かった」に変えたいのかを考えてみましょう。
考えるヒントは身近にたくさんあります。
例えば、何かを買うときに、この商品やサービスはどんな「困った」を「よかった」に変えているのだろう?と考えてみる。
例えば、働く大人を見て、この仕事は誰のどんな「困った」を「良かった」に変えているのかを考えてみる。実際に聞いてみるのも良いですね。
意識してやってみる
考えるだけでなく、アルバイトや職業体験、お手伝いを通して、実際に誰かの「困った」を「良かった」に変えることもできます。
ただ漠然と業務をこなすのではなく、意識して働くことで、将来働くことのヒントを得られることでしょう。
自分磨きも、将来につながる行為
また、働くことは、それなりの技術や知識を必要とします。体の弱い警備員や、知識の少ない弁護士がいても役に立ちませんよね。
ですから、自分を磨くことも、将来の可能性を広げることにつながります。
そう考えれば、目の前の勉強や部活動に一所懸命取り組むことだって、将来につながる立派な行為と言えます。
「将来何になりたいか」がまだ見つからなくても大丈夫。
まずは、どんな「ありがとう」を集めたいか考えながら、自分磨きをしてみましょう!
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