【中高一貫】(事例)高校3年生「入試問題だと歯が立たない」
【悩み・課題】
「物理の基礎問題は解けるけれど、入試問題だと歯が立たない」
高校3年生のA君が、夏前に相談してきた。
それまで「数学を得意にしたい」という目的で塾に通っていたが、
数学が伸びる一方で、物理が伸び悩んでいた。
物理の点数を見る限り、学校についていっているよう見える。
しかしそれは基礎問題で点数を取っていただけで、入試レベルの応用問題は解けずにいた。
そこでA君は、得意まで伸びた数学は自分で進めることにし、
代わりに物理の授業を受けることにした。
入試まであと半年と少し。時間との勝負だった。
【対策】パターンではなく、本質を理解する
学習状況をよく見ると、公式を使ってパターンで問題を解いているだけで、
きちんと図を描ききれておらず、物理の本質を理解していなかった。
そこで、図の描き方や本質的な考え方から、基本を一つずつ押さえていき、
入試問題でもその基本に忠実に解いていく方法を学んでいった。
それを理解し、定着させる能力は高く、一つ一つ確実にものにしていった。
【経過】一喜一憂することなく、やるべきことを進めた
物理はやった分だけすぐに点数につながるのではなく、
積み重ねて最後に急激に伸びる科目特性がある。
そのため、目に見えて急に模試の結果がアップしているわけではなかったが、
A君はモチベーションを下げることなく学習を続けた。
解いている時に、「わかる」「できる」の体感があったからだろう。
また、模試の結果に一喜一憂せず、冷静に分析・判断し、
自分をコントロールする能力の持ち主でもあった。
「今まで取り組んできた力学分野はできるようになった。
電気分野で落としているけど、これから取り組む予定だから構わない」
と冷静に受け止め、やるべきことを淡々と進めていった。
【結果】……。
本当に最後は時間との勝負だった。
カリキュラムの上では間に合う予定だった。
しかしそれは、あくまでカリキュラム上のことだ。
物理は基本を理解し、それを応用に活用できるまで落とし込むのに時間がかかる。
問題によっては、3週間後に突然「あ、そうか!」と腑に落ちることもあるのだ。
それが入試後に来られたら……。
間に合うかどうか?!
↓
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結果、A君はみごと、第一志望の早稲田大学先進理工学部に合格した。
最後まで冷静にやり遂げた結果だった。
【成功の秘訣】
多くの中高一貫進学校では、中学入試の段階で、情報処理能力の高さを要求されます。
その上、中学入学後も、学習進度が速く、課題・小テストが多いため、目の前の課題処理能力が要求されます。
そのため、公立中学校のトップレベルの子と比べても、「情報・課題処理能力」は高い子が多いようです。
ところが、進度が速いということは、
一つ一つにじっくり時間をかけずに、浅い思考で進んでしまうリスクもあります。
そのため、「パターンで解く問題」は得意だけれど、
「試行錯誤して解く問題」「記述式の問題」「本質をつかみ、深い思考を必要とする問題」などは
あまり得意としない子が多いようです。
確かに、GMARCHレベルや中堅国公立レベルなら、
「パターンで解く」ことでも合格をたぐり寄せることは可能でしょう。
しかし、それ以上となると、A君のように壁にぶつかります。
学校で処理能力を高められるからこそ、
「じっくり本質をつかむ」「しっかり頭を整理する」ことを定期的に行えば、
よりレベルの高い大学を目指すことも、そう難しくなくなる事でしょう。
また、「頭が整理される」と、学校の課題も今より時間をかけずに済むようになり、
その結果、よりじっくり取り組むことができる、…、という好循環にもつながることでしょう。
【中高一貫校生のための個別指導の活用法】
中高一貫の進学校では、学校についていけば、入試に必要な力が付くようになっています。
実際、A君は、得意な英語は塾に通う必要がなく、学校の内容だけで十分でした。
そのため、忙しい中高一貫校生が塾・予備校を有効活用するには、
「学校の学習についていけていない科目」
あるいは「到達レベルが不十分な科目」だけ取り組むことで、
効率よく学習を進める事ができることでしょう。
個別指導なら、A君のように、途中で科目を切り替えることも可能です。
また、もっと効率良く、効果的に学習を進めたいのでしたら、
学校と同じ一斉授業形式で、もう一度「一から十まで」教わる必要はありません。
せっかく学校で、大学受験に必要な知識はすべて授業や課題で扱ってくれるのです。
後は自分に必要なカリキュラムで、単元別に
「こことここはできるようになった、次はここを進めよう」
という具合に進めることができれば、
時間の無駄を省け、最短でゴールに向かうことができるでしょう。
その為には「何となくここが苦手」と曖昧な記憶で進めていくのではなく、
学力診断テストや、普段の学習状況を細かく記録し、
根拠のあるカリキュラムで取り組むことが重要になってきます。
「科目」別に学習するのではなく、
「単元」別に学習するのが個別指導を上手に活用する秘訣です。